平屋住宅のメリットなど把握しておくべき情報を分かりやすく紹介していきます

平屋住宅は一般的に広く普及している二階建て住宅より生活空間がやや狭いのは事実ですが、一方で表面積が少ないのでメンテナンスの手間がかからず、光熱費を抑えることができるなどメリットが多い点は無視できません。
建物がコンパクトな作りなので揺れにも強く、階段も基本的には使われていないので転倒事故のリスクも大幅に軽減されます。
出費を抑えつつ安全な暮らしができることから、小さい子供や高齢者がいる世帯に向いていると言えるでしょう。

平屋住宅のメリットなど把握しておくべき情報を分かりやすく紹介していきます

平屋住宅は部屋数が少ないことから不便なイメージがありますが、実際はシンプルな構造なのでメンテナンスの手間がかからない、光熱費を抑えることができるなどメリットも少なくありません。
建物が上に伸びた形ではないので強風や地震などの揺れに強く、倒壊のリスクが少ないことも平屋ならではのメリットと言えるでしょう。
基本的に平屋住宅は階段が存在しないことから、段差による転倒事故のリスクが軽減されます。
そのため、小さい子供や高齢者がいる世帯ほど平屋住宅が適していると言っても過言ではありません。

平屋の住宅の需要が増している理由

国の統計によれば、住宅の年間新規着工件数は2000年代に入ってからは減少傾向にありますが、平屋住宅に限って言えばむしろ増加しており、全体の中でのシェアも高まっています。
その理由はいろいろ考えられますが、1つにはわが国の高齢化を挙げることができます。
平屋住宅における最大の特徴は、階段を上り下りすることなく水平方向への移動だけで室内での生活が完結することです。
そのため、体力的な衰えを実感している高齢者にとっては、非常に暮らしやすいと言えます。
また、高齢者のみの世帯では部屋数もそれほど必要ないので、2階建てや3階建てにして床面積を増やさなくてもゆったりと生活することができます。
一方、子育て世代の間にも平屋住宅の需要は高まっています。
というのも、住戸内の移動が楽だという特徴は、小さな子供や妊婦にとっても暮らしやすさを実感できる要素だからです。
さらに、常に同じフロアに家族の気配が感じられるので、コミュニケーションが取りやすいという側面もあります。

平屋は地震に強いことも大きな魅力

一般的には同じ敷地面積であれば平屋よりも二階建て、三階建てのほうが総床面積は広くなり、それだけ間取りの点でも有利になることは間違いありません。
国内の多くの一戸建て住宅が二階建てであり、最近では三階建ても増えてきているのは間違いなくこの理由があります。
しかり平屋には一切メリットなどないわけでは決してありません。
例えば地震に強いというのはその一つです。
誰が考えてもすぐに分かりますが、1階部分の大きさが同じであれば、高さがある建物のほうが揺れやすく、地震発生時には倒壊したり損傷したりする可能性が高くなります。
これは高さがあることに加えて、上層階の重みがあることも当然影響しています。
この点、平屋のほうがある意味でずんぐりしており、揺れには強いと言えるわけです。
もちろんただこれだけのメリットのために二階建てや三階建てを放棄する理由にはならないかもしれませんが、一切メリットが無いわけではないことは理解しておきましょう。

平屋はバリアフリーで老後の生活にピッタリ

平屋だからといって常に完全なバリアフリーとは限りませんが、二階建てやそれ以上の住宅に比べるとそのように対応できる可能性が非常に高く、そのため平屋は老後の生活には合っていると言えます。
歳をとると足腰が悪くなり、ちょっとした段差で転ぶ可能性もありますし、何よりも厳しいのが階段です。
上り下りには体力も必要ですし当然ながら足腰には大きな負担になります。
万が一足を踏み外したりした場合には大きな怪我につながることもありますし、骨折して寝たきりになるとか、打ちどころが悪いと命の危険さえあります。
かといって二階建て以上で階段を無くすには、ホームエレベーターを取り付けるなど大掛かりなことになってしまうかもしれません。
ここは大きく発想を変えて、平屋にしてしまうというのは一つの考え方です。
こうすれば日常の生活が全てそのフロア内で完結するわけで、段差などには気をつけなければなりませんが、階段の上り下りは一切必要なくなるというメリットがあります。

平屋は生活動線がシンプルで過ごしやすい

建物の中で人の移動が描く軌跡を、動線といいます。
訪問者が入口から目的の場所まで移動する来客動線、居住者が身支度をして玄関から外へ出るまでの通勤動線などさまざまな種類がありますが、住宅を設計する際に最も重要となるのは生活動線です。
これは、自室から食堂や浴室へ、あるいは庭やクローゼットへなど、居住者が日常生活を送る中で住居内を動くその軌跡のことをいいます。
一般に、平屋住宅は二階建てや三階建てに比べるとこの生活動線がシンプルなため、過ごしやすいとされています。
その理由は言うまでもなく、平屋では階段の上り下りがなく、移動が水平方向に限られているためです。
間取りをどのように設計しても同じフロアの中で動線が完結するので、移動にストレスがありません。
外出先から疲れて帰って来た時などは、垂直移動が必要ないメリットを強く感じます。
もちろん、階段を下りる途中で上ってくる他の住人と鉢合わせしてしまう、などという事態も避けられます。

平屋は天井の高い家にすることが可能

今や平屋を建てる人が増えてきています。
平屋で注意してほしいことは天井の高い家が良いということです。
高いことでいろいろなメリットがあり、快適な空間をつくってくれますから、自分や家族にとっても居心地の良い空間として住むことが出来ます。
一生住む家ですから、後で後悔しないためにもまずは設計の段階でしっかり精査しておくことが重要になります。
まずは自分の家が無事に出来上がるかになってきますし、大変重要なことでもあります。
どこから攻めていくのかは本人の考え方1つで変わってきますから留意しておいてください。

平屋を建てた人の意見も参考にするべき

最近では郊外の広い土地に、広々とした平屋を建てたいと考えている人がかなり多くなってきています。
平屋であれば2階に上がる必要もありませんので、マンションと同じような感覚で生活をすることができ、年齢を重ねても住み続けやすい住宅となっているのです。
しかし日当たりが悪かったり、周りに大きなビルが建つ予定があったりすると日がさえぎられてしまうということもありますので注意が必要となってきます。
平屋は普通の2階建て住宅とは違った良さもありますが、普通では考えられないような不満も出てくることもありますので、実際に平屋を建てた人の意見も聞いて参考にしておく必要があるのです。
実際の住み心地や日当たりなど、住んだ時のことを聞いておくことによって、自分がどういった住宅にしたいのかということをイメージしやすくなりますし、トラブルが起きた時の対処方法なども参考になるということから、2階建て以上の住宅が増えている今だからこそこういった重要な意見は聞いておく必要があります。

平屋住宅は基礎工事にお金がかかる

バリアフリー化しやすいことなどから人気の平屋ですが、新築するとなると基礎工事にお金がかかることを知っておかなければなりません。
戸建住宅の施工でお金が必要になるのは基礎と屋根だと言われています。
鉄筋コンクリートの基礎が強固でなければ、建物全体が支えられません。
屋根の防水が不十分であれば雨漏りが生じて、建物全体の劣化が早まります。
同じ延床面積であれば、2階建てと比べて平屋は基礎と屋根の面積が大きくなります。
2階建てがいわゆる総二階であれば、建築面積が延床面積の半分です。
平屋は延床面積と建築面積が等しいですから、必要な基礎が大きくなるのです。
構造によって基礎工事の費用は変わってきます。
材料が軽い木造軸組工法や軽量鉄骨造は安く、重い鉄筋コンクリート造は高くなる傾向があります。
現場施工でもプレキャストでも、鉄筋コンクリート造の平屋は基礎にお金がかかるということを頭に入れておく必要があります。
地震や台風に強く生活しやすい構造な分、コストが掛かるのです。

平屋は水害被害のリスクに注意する必要がある

今人気の平屋住宅ですが、水害被害のリスクが高くなるので注意が必要です。
水害で水があふれて避難できない時に垂直避難が推奨されています。
しかし、平屋の場合、上の階がないので屋根に逃げる以外上部への避難の方法がとることが出来ません。
床上まで水が上がってしまうと危険です。
建っている土地が浸水区域に指定されていないかどうか、ハザードマップで確認が必要です。
過去に水害被害で一階部分が浸水したような土地であれば、建てるリスクは高いと言えます。
かさ上げをすると言っても限度があり、それ以上の水害であれば意味がありません。
そのうえで、どうしても平屋を希望するのであれば、避難経路を確保して浸水被害に備えましょう。
避難情報が出れば迷わず、行動に移し避難してください。
家具家電は水に浸かってしまうと、廃棄するしかありません。
災害時には凶器に変わることもあります。
このようなリスクを事前に把握したうえで平屋にするか判断して建てましょう。

平屋は家族とのコミュニケーションが取りやすい

平屋の魅力は様々なものがありますが、その一つが家族とのコミュニケーションが取りやすいという点が挙げられます。
平屋は部屋が上下に分かれていないことから、個室にいてもなんとなくお互いの気配を感じます。
階段で隔てられていないことから、自然とリビングに集まり団欒にもつながります。
リビングを中心にした間取りにすることも可能で、子供が小さい時に見守りやすくなっています。
段差がないため怪我の心配も少ないです。
また、子供が大きくなっても帰ってきた時などは必ずリビングを通ることで会話が発生します。
出かける時にも見送りに便利なのもメリットです。
対面式のキッチンにすれば、コミュニケーションがより多くなります。
会話を重視したいと言う人には、特におすすめと言えます。
ただし、コミュニケーションが良いと言うことは、プライバシーを守りづらいということでもあります。
間取りを複雑にすると採光などの問題が出てくるため、プライバシーを守りやすいコの字型にしたり、一人の時間を確保できる独立したスペースを設けることが良いとされています。

著者:清家英雄

筆者プロフィール

長野県上田市生まれ。
一級建築士として様々な住宅を建設。
今回は平屋について情報をまとめました。
上田市 平屋